韓国スーパーが仕掛ける「5,000ウォンチキン」戦争!高騰する物価に挑む流通大手の戦略とは?

韓国スーパーが仕掛ける「5,000ウォンチキン」戦争!高騰する物価に挑む流通大手の戦略とは?

K-POPや韓国ドラマに夢中の皆さん、韓国の物価事情が気になりませんか?現在、韓国では物価高が続き、特に外食費の負担が大きくなっています。その中でも、国民食ともいえる「フライドチキン」の価格高騰は深刻な問題。宅配料を含めると1羽3万ウォン(約3,500円)近くになることも珍しくなく、「チキンを食べたくても手が出ない」という声も聞かれます。

そんな中、韓国の大手スーパーマーケットが、かつてない規模の「チキン価格競争」を巻き起こし、消費者の熱い視線を集めています。まるでデフレ時代に逆戻りしたかのような「5,000ウォン(約580円)チキン」が再び登場し、市場に大きな波紋を広げているのです。

 


 

韓国スーパーが仕掛ける「5,000ウォンチキン」戦争!高騰する物価に挑む流通大手の戦略とは?
ロッテマートの「トンクンチキン」

 

韓国フライドチキン価格高騰の背景と「スーパーチキン」の登場

韓国でフライドチキンといえば、専門店やフランチャイズ店でのデリバリーが一般的ですが、近年は原材料費や人件費、そして宅配料の高騰により、価格がうなぎ登りでした。国民食であるフライドチキンが高嶺の花となりつつある状況に対し、消費者の不満は募るばかり。

このような中で救世主として現れたのが、大手スーパーマーケットの超低価格チキンです。

  • ロッテマートの「トンクンチキン」再来: かつて大ヒットを記録し、フライドチキン市場に一石を投じた「トンクンチキン」が、約15年の時を経て5,000ウォン台の衝撃価格で復活。開店前から長蛇の列ができ、瞬く間に売り切れるなど、その人気は健在です。ロッテマートは大量仕入れや流通マージンの最小化により、この価格を実現していると報じられています。
  • ホームプラスの「ダンダンチキン」: ロッテマートに先立ち、低価格チキン市場で成功を収めていたのがホームプラスの「タンダンチキン」。こちらも継続的なセールやプロモーションを行い、消費者の「節約志向」を捉えています。
  • イーマートの参戦: イーマートも「アメージング完璧チキン」などを投入し、この価格競争に本格参戦。各社がしのぎを削る状況となっています。

これらのスーパーマーケットチキンは、その圧倒的なコストパフォーマンスから「コスパ最強チキン」としてSNSでも大きな話題となり、連日「オープンラン(開店と同時に店に駆け込むこと)」をする消費者の姿が見られています。

 


 

ホームプラスの「ダン ダンチキン」

 

なぜスーパーは低価格チキンを投入するのか?その戦略と狙い

 

スーパーマーケットが採算度外視とも思える低価格チキンを投入する背景には、緻密な戦略があります。

  1. 集客効果の最大化: チキンは消費者にとって魅力的な「呼び水商品(ミッキ商品)」。チキンを求めて来店した顧客が、ついでに他の食料品や日用品も購入することで、店舗全体の売上アップに繋げようという狙いです。景気低迷で売上が落ち込む中、顧客を呼び込むための起爆剤として期待されています。
  2. 企業イメージの向上: 物価高に苦しむ消費者の味方となることで、「消費者フレンドリー」な企業イメージを確立し、ブランド価値を高める効果もあります。
  3. 流通構造の優位性: フランチャイズ店が高額な店舗運営費、人件費、宅配料に加えて、中間マージンがかかるのに対し、スーパーは鶏肉を大量に一括仕入れし、店内調理・販売することで、大幅なコスト削減が可能です。

スーパーマーケット各社は、この超低価格チキンが**「一時的な特売ではなく、年間を通してこの価格で提供する」**と表明しており、長期的な戦略として位置付けていることが伺えます。


 

イーマートの「アメージング完璧チキン」

 

激化する「チキン戦争」の行方と今後の展望

スーパーマーケットのチキン価格競争は、既存のフライドチキン業界に大きな影響を与えています。

  • フランチャイズ店への影響: 高価格帯のフランチャイズチキン店は、消費者の足が遠のく可能性があり、価格戦略の見直しやサービスの差別化を迫られています。一部では、宅配料の引き下げやセットメニューの導入などで対抗する動きも見られます。
  • 小規模事業者の懸念: 安価なスーパーチキンが市場を席巻することで、地域の小規模なフライドチキン店や自営業者が経営難に陥るのではないかという懸念も出ています。
  • 持続可能性への議論: この超低価格戦略が、果たしてどこまで継続可能なのか、品質の維持はできるのか、といった点についても議論が続いています。

しかし、消費者にとっては、選択肢が増え、安価でおいしいチキンを楽しめる機会が増えたことは歓迎すべきことです。

今回の「チキン戦争」は、韓国における高物価と消費者の節約志向、そして流通業界の生き残りをかけた激しい競争を象徴する出来事と言えるでしょう。今後、この価格競争がどのように展開し、韓国の食文化や経済にどのような影響を与えるのか、注目が集まります。

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